RELEASE

ZOMBIE-CHANG 3rd album『PETIT PETIT PETIT』

  • tracklist
    01. レモネード
    02. イジワルばかりしないで
    03. ときどき、わからなくなるの
    04. モナリザ
    05. 愛のせいで
    06. WE SHOULD KISS
    07. なんかムカツク
    08. オニオンスライス

発売日:2018.07.03(wed) 価格:¥2,000(税抜価格) 品番:ROMAN-016
発売元:Roman Label / BAYON PRODUCTION
 販売元:PCI MUSIC

ZOMBIE-CHANGが初の全楽曲バンドセットによる待望の3rdアルバム『PETIT PETIT PETIT』をリリース!
メイリンのソロプロジェクト<ZOMBIE-CHANG>が初の全楽曲バンドセットによる3rdアルバム『PETIT PETIT PETIT』をリリース。
今までの楽曲ではトラック、リリック、レコーディングまで全て彼女が手掛けてきたが、今作はアレンジにベース、ドラム、ギターといったサポートメンバーを携え新たなZOMBIE-CHANGサウンドを作り上げた。メイリン自身も初となる大人も子供も楽しめる曲をテーマに作成された「モナリザ」、新たなアレンジが加わりバンドサウンドへと変貌を遂げた「レモネード」「WE SHOULD KISS」や存在感のあるリズム隊と彼女独特のボーカルとシンセサイザーが混ざり合う「ときどき、わからなくなるの」、彼女のキャリア初となるギター、ベース、ドラムの3ピースによる「愛のせいで」を含めた全8曲を収録。ソロプロジェクトでは再現することが出来なかったであろう、彼女のインスピレーションをサポートメンバーと共に音を重ねることによりジャンルに捉われない独自の音楽性と、唯一無二な世界観を放つ今までにない新たなZOMBIE-CHANGの3rdアルバム『PETIT PETIT PETIT』が遂に完成。ジャケット写真・デザインワークはメイリン本人が全てを担当。レコーディングでは、エンジニアとしてペトロールズ、never young beachなどを手掛けるhmcの池田洋が担当。
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《Profile》
メイリンのソロプロジェクト、ZOMBIE-CHANG(ゾンビーチャング)
作詞作曲、トラック、リリック全てを彼女が手掛け、2016年に配信「恋のバカンス E.P.」でデビュー。
その後、1stアルバム『ZOMBIE-CHANGE』をリリース。2017年3月には2ndアルバム『GANG!』をリリースし、リリースパーティーを青山のPIZZA SLICEで開催。また、SUMMER SONIC 2017、WORLD HAPPINESS、コヤブソニックなどのフェス出演や、TAICOCLUB主催のサンリオ43周年パーティー、sacaiとUNDERCOVERによるPartyへのライブ出演など、活動範囲は多岐に渡る。2018年からは3ピースバンド体制で始動。音楽プロジェクト以外にも、執筆業、ラジオMCなどとしても活動。ジャンルに捉われないオリジナルティ溢れる音楽性と、 独自の世界観を放つライブ・パフォーマンスは中毒性が高く、今最も注目される女性アーティストのひとり。
http://www.zombie-chang.com

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レ、モ、ン、をわぎりにして。
ZOMBIE-CHANGが「レモネード」を歌い出したとき、思わず耳に差し込んだイヤフォンを正していた。ストレートな声が、耳から頭の中に鋭くジャブを入れてきた気持ちになったからだった。この声、ふわふわ成分ゼロだわ。いやさない。はげまさない。そっけない。だけど、気持ちよく踊ってる。「レモネード」を聴いて、すぐに思い出したのは、ESGの「Dance」や「Moody」だった。
1978年、ニューヨークのサウス・ブロンクスで結成された伝説のブラック・ガールズ・バンド。メンバーはスクロギンズ一家の実の姉妹。部屋で好きな曲をかけて踊っていた延長で、楽器を手にし、思いつきまかせにめちゃくちゃにクールな曲を後世に残した。ESGを讃える人たちは「ディスコとポストパンクを融合させた」とか、そのクロスオーバーな音楽性のすごさを指摘するけれど、ぼくからしたら彼女たちはジャンルとジャンルを調べてくっつけたんじゃなくて、部屋とクラブ、つまり自分の場所と行動を単純にくっつけたんだ。それがあまりにありのままで、あっけにとられるほどかっこよかった。
「レモネード」の話に戻ろう。ZOMBIE-CHANGの「レモネード」を繰り返して聴いていると、今から40年近く前にESGがやっていたことを、ひさびさに目の前に突きつけられた気がしてきた。見たまま、思ったままを立て板に水を流すように彼女は歌にする。「わたしっておもしろいことやってるでしょう」って自己満足に追いつかれるよりも早く、さっさと曲が生まれる。みんなが「おもしろい」とか「不思議」かと言い出す頃には、彼女はとっくに先に行って踊ってる。そして「キスしてハグして眠ります」。
その「レモネード」は、もともとは彼女自身の打ち込みトラックでもリリースされていた曲だった。
じつは新作『PETIT PETIT PETIT』は、バンド・サウンドでレコーディングされていて、「レモネード」はニュー・ヴァージョンなのだった。宅録が作り出していたドーパミン感覚もよかったけれど、never young beachから巽啓伍(ベース)、鈴木健人(ドラムス)が参加したことで、脳内にしかなかったものが実体化した妙な迫力を持っているのもいいところ。空をすごいスピードで乱舞していたUFOが地上に降りてきた。そんな気分。さらに言えば、このアルバムでの彼女の曲作りには、シンガー・ソングライター的な可能性も増している。「愛のせいで」みたいな曲は、バンドのエイト・ビートがもたらす、素直に背中を押されるような気分もすごく影響してるのかもしれない。UFOに乗ってる人だと思ってたのに、突然愛を告白された。困ったな。でも、すごくいい歌だ。「オニオンスライス」もそう。泣きたいときに泣けないときは玉ねぎをスライスしよう。彼女がとらえる心の機微が、こんなに鋭いなんてね。全8曲で28分。もうちょっと聴いていたいと思うくらいのタイミングで、アルバムはずるいくらいそっけなく終わる。不思議で身勝手でグルーヴィーで、それでいて、言葉も歌もハートにぐさぐさと刺さる。こんなZOMBIE-CHANGは予想してなかった。きっとこれは未来の思春期のために必要なアルバム。いつかあなたの娘さんが「こんな最高なの見つけたんだけど、これなに?」って聞いてくるかもしれない。ESGがそうだったみたいに。

松永良平 (リズム&ペンシル)